ServiceNowのTSOMとは

通信業界では、ネットワークの複雑化や運用コストの増加、迅速な障害対応への要求が高まる中、業務の効率化と自動化が重要な課題となっています。 こうした業界のニーズに対応するため、ServiceNowではTSOMを提供しています。本記事では、TSOMの概要や導入効果、導入事例などについてご紹介します。

そもそもTSOMとは?

TSOM(Telecommunications Service Operations Management)は、通信事業者向けに最適化された、ServiceNowの運用支援プラットフォームです。主にネットワーク運用の自動化、障害対応の迅速化、サービス可視化などを実現するために設計されています。

従来のような装置やネットワーク単位の管理ではなく、顧客視点に立った「サービス中心の運用」を実現できる点が特徴です。イベントやアラートを自動で収集・相関させ、障害の原因特定から修復プロセスまでを効率化。AIOpsによる異常検知機能も搭載されており、ネットワーク全体の健全性を保ちながら、人的対応の負担を軽減できます。

TSOMの導入効果

TSOMの導入によって、通信事業者が得られる主な効果は以下のとおりです。

インシデント対応のスピードアップ

アラートのノイズを除去し、重要なインシデントを自動的に検出。これにより、障害対応までの時間を大幅に短縮できます。

運用コストの削減

自動化されたフローにより、マニュアル作業が減り、リソースの最適化が可能になります。人手による対応が減ることで、運用コストの圧縮にもつながります。

顧客満足度の向上

サービス影響範囲の可視化機能により、障害時にも迅速かつ的確な顧客対応が可能に。結果として、サービス品質の向上が期待できます。

ナレッジの蓄積と属人化の排除

運用フローを標準化・自動化することで、属人的な判断や対応が不要になります。これにより、知見が組織に蓄積されやすくなるのも大きな利点です。

TSOMが重要な理由

現在、通信業界では5G、IoT、クラウド通信基盤といった新技術の普及が急速に進んでいます。それに伴い、運用対象も複雑かつ広範囲になってきました。こうした背景の中、「手動のオペレーションでは追いつかない」という課題が各社で顕在化しています。

TSOMは、こうした課題に対し、3つの側面からアプローチしています。

このような理由から、TSOMは単なるツールではなく、次世代通信インフラの基盤を支える存在として重視されています。

TSOMの導入事例

課題

北欧・バルト地域を中心に広がるTelia社では、5GやIoTの進展によりネットワーク接続の安定性と効率性がこれまで以上に求められていました。しかし、レガシーシステムと複雑なサプライチェーンにより、ネットワーク運用チームは重大な課題を抱えていたのです。

特に、ネットワーク障害の原因特定に時間がかかり、エージェントが顧客へ正確な情報を即座に提供できない状況が続いていました。サイロ化されたシステムが情報の流れを分断し、業務効率と顧客対応の質の両方に悪影響を及ぼしていたのです。こうした背景から、Telia社ではテクノロジーオペレーションとカスタマーオペレーションを一体化し、サービス品質を抜本的に向上させる必要に迫られていました。

導入効果

Telia社はServiceNowのTSOMを導入することで、ネットワーク運用の大幅な効率化を実現しました。Now Platformを通じて発生したイベントは自動的にインシデントへと変換され、影響を受ける顧客を特定した上で事前に通知が行えるようになったのです。これにより、顧客満足度の向上と同時に、コールセンターへの問い合わせも抑制されました。

また、アラートの優先度を自動判定し、真に重要な問題に集中できる環境が整ったことは、現場のストレス軽減にもつながっています。さらに、国ごとに分かれていたシステムを一つのプラットフォームに統合したことで、情報の可視化と意思決定の迅速化が可能となり、全社的なデジタル変革を推進する原動力となっています。

参照元:Servicenow公式HP(https://www.servicenow.com/jp/customers/telia-tsm.html)

ベンダーは自社のシステム
課題から選びましょう
ServiceNowをよりスムーズに導入し、効果的に利用するためには、自社に合った導入支援ベンダーを選ぶことが欠かせません。
このメディアでは、各社のシステムの状況別におすすめのServiceNow導入ベンダーを紹介しているので、ぜひそちらも併せてチェックしてください。

業界特有のシステム課題から選ぶ
おすすめベンダー3選

合わせて読みたい関連記事

業界特有のシステム課題から選ぶ
ServiceNow導入支援ベンダー
おすすめ3選

ここではServiceNowの導入支援を行っている企業の中でも特におすすめしたい3社を紹介。

企業や業界によってシステムの仕様や課題は異なるため、それぞれの業界特有の課題に対応したServiceNow導入支援ベンダーを紹介します。

申請・承認フローの
デジタル化に踏み出したい
不動産・建設業界向け

ロココ
ロココキャプチャ

画像引用元:ロココ公式HP
https://www.rococo.co.jp/products/biz-app/servicenow/

おすすめポイント
導入が目的ではなく、“実務で使われ、成果につながる”ことをゴールとするアプローチが、不動産業界のように部門横断的で帳票が多層化・分散化している組織にフィットします。
           

高度な規制や
制約への対応がしたい
金融業界向け

NTTデータ
NTTデータキャプチャ

画像引用元:NTTデータ公式HP
https://nttdata.service-now.com/jp

おすすめポイント
業界に精通した業界出身者も擁しているため、業界特有の法規制や業務プロセス、コンプライアンス要件に関する広範な知識を有しているのが特徴です。
           

定型業務の電子・自動化に
踏み出したい
行政組織向け

Blueship
BlueshipHPキャプチャ

画像引用元:Blueship公式HP
https://www.blueship.co.jp/

おすすめポイント
地方自治体のDXにおいて、RPAやAI-OCRとの連携、行政手続きのポータル構築など、実務に即したソリューション設計に強みがあり、使いやすく定着する仕組みを一気通貫で提供します。